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進撃のWコウジ14


「今田さんってAV好きやないですか。」

「せやな。」

「AVの魅力って何ですか?」

「負の側面やろな!」

「負の側面!?」


「せやな。俺は人間の負の側面を見つめ続けてるんや。」

「なんか前世でとんでもない悪行でも積んだんですか?」

「ヒガシノリは可愛い孫もいるおじいちゃんやけどワシは現役の性の探求者なんや。」

「でも結局昔のAVばかり見がちなんでしょ?」

「懐メロやな。」

「ごっつの頃やったな、とか思い出すんですね。」

「ワシEテレレギュラーやぞ。Eテレの自分の出てる番組の録画と最高のお気に入りのAVを同時視聴しとんねん!」

「嘘でしょ!?」

「さすがに盛ったわ。すまん。」


「最高のAVのシチュエーションって何なんすか?」

「背徳やろうな。」

「深いですね。今田さん。」

「タブーを犯すためには前提となるタブーが必要なわけやろ?」

「なるほど。」

「つまり最高の背徳のためには最高の権威、秩序、規範、法律、倫理、人間が培った万億の文言が連なる歴史を背景にしたこの世界の成り立ちそのものが必要な訳や。」

「なるほど。」

「つまり初恋の女の人そっくりな女優さんものが至高や!」

「えっ!?」


「そんなんただのモテないおっさんやないですか。」

「アホなこと言うな!ワシかて好きでAV見とるんちゃうわ!」

「えっ!?」

「AV見てると真理に辿り着けるかのような境地に至れるんや!」

「えっ!?」

「この世界のありとあらゆる娯楽は畢竟、生物の持つ本能に根差す欲求を基底とした、性欲を煽るために最適化されたAVは、神、創造主、この宇宙の根本原理、構成物質、物理法則、つまりビッグバンとはワシがお気に入りのAV見てるこの瞬間のためだけに起こったんやな、と実感できるんや。」

「今田さん、Eテレの収録の現場でも神々と戦ってる想定で臨んでたんですね。」

「せや。むしろEテレという権威が劣情をええ感じに刺激してくれるって寸法なんやな。」

「今田さんはやっぱ凄いなァ。」


「せやかて今田さん、AV応援するのはわかるんですけど、なんでAVって大きな声で表立って応援できない感じなんですかね?」

「甘いでヒガシノリ!隠れキリシタン理論やで!」

「えっ!?」

「AV業界は日本に伝来したキリスト教なんや!AVファンはどんなに迫害されても決して退転せんのや!」

「今田さんにとっての踏み絵ってどのAVですか?」

「全部や!ワシはあらゆるAVを足蹴にできんわ!」

「絶対隠れ切れないじゃないですか。即処刑ですよ。」


「ヒガシノリ!AV見てるとな、何が起こるか知ってるか!?」

「え?何が起こるんですか?」

「あのな、何かな、あったか〜い気持ちになんねん。」

「孫の写真見る時みたいなもんですかね?」

「せやろな。ワシには孫とか不要なんやな。」

「AVを孫がわりに愛でるんですね。今田さんには一杯孫がいていいなァ。」

「せやな、Piecesやな。」

「はい!ピーシーズ、ということで、今日はありがとうございました!」


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