幼馴染とのドライブ
高速を抜け、目的の街につく。
「あの家だ。」
アンリの目が座っている。ケンはいざとなったら殺人だけはとめようと思った。 チャイムを鳴らす。中年の女性が現れた。
「貴方の娘のアンリです。」
中年女の顔色が変わった。
「どうして事故で死んだなんて嘘までついて施設に放り込んでくれたわけ?子供が10人もいたから口減らし?」
アンリの母は辛そうに口を開いた。
「天帝様が…、おつげが…、アンリ、あんたは神様の子供だから、無理やり引き離されたんだよ…」
アンリが母親の頬を思い切り平手で打った。
「クソババア!宗教かよ!最低!テメエで産んだんなら責任取れ!」
ケンがアンリを止める。
「おい、もういいだろ、気持ちはわかるけど手は出すなよ。」
アンリの母は続ける。
「アンリのお父さんは天帝様なんだよ…。私にはわからないけど他の9人の兄弟も同じ方法で施設に送ったのはある計画のためなんだよ。」
アンリが再び平手を振るのケンが止め、尋ねる。
「計画って、なんの計画ですか?そんな異常なことをするのが必要なほどのものなんですか?」
「詳しくは私はわからないの。天帝様、アンリ、あなたのお父さんに直接聞いて。」
アンリの母は2人をリビングに案内した。中年男性がベッドに横たわっていた。
「アンリか。10人目の。やはりお前だったか。想像した通りだ。俺がお前の父親だよ。」
アンリの父は続けた。
「俺はある国と日本との2重スパイでな、引退した後は顔と戸籍を変えてこの土地で新興宗教を始めたんだ。」
「お母さんまで洗脳したのかよ!あんた頭おかしいよ!」
アンリが怒鳴る。
「話は最後まで聞け。2重スパイというやつは少し特殊でな、両国を敵に回すことになる。それでな、両国に取引のできるブツを用意したんだ。それがお前が探し当てた電子の絆だ。」
「電子の絆って、あのパソコンの、ウィルスソフト、お父さんが作ったの…?」
アンリは何かに気が付いた。
「つまり、なんだ、その…」
アンリの父が口ごもる。
「わかったわ。パパ。アタシがパパに代わって世界中にウィルスをばらまく。」
アンリの目は輝いていた。
「2重スパイ時代の国との取引も私に任せて。さーて明日も学校があるから帰るわよ、ケン。じゃあね、パパ、ママ。」
ケンが訝しげに尋ねる。
「おい、なんであんなに怒ってたのにいきなりニコニコしだしたんだ?」
「だってぇ~、金の匂いがプンプンするじゃ~ん。」
アンリはケンの吸ってるタバコを奪って一服すると思い切りむせた。