ツンツン少女
リサの高級車に乗ってアンリとケンは2人の父親に会いに行った。
「お父さん教祖だったんだ。」
「なんかもう死にかけてるけどね。パパ。」
老婆がドアを開けた。
「貴女の娘のリサです。手紙をくれましたよね。」
「おお、リサかい。貴女はたしか早乙女さんとこの子だね。」
「随分性に奔放な家庭なんですね。」ケンが恐る恐る言った。
「じゃあ貴女の旦那さんの娘です。逢いに来ました。」
リサは父親に会うと泣き出した。
「お父さん。」
「梨沙か、相当頑張ってるようだな。」
リサは手で顔を覆って泣きじゃくっている。アンリが言う。
「普段は化け物みたいに強いのにこういうのには弱いのね。」
「杏梨をどう思う?梨沙。」
リサとアンリの父親がベッドに横たわりながら聞いた。リサは泣き終えた後答えた。
「アタシは相手を弱そうか強そうかでしか判断できないけど、いいの?」
「かまわんよ。」
「今はまだ、弱い。でも強くなりそうな予感がある。」
「どのくらい強く?」
「それはわからないけど、アタシは毎日1人の人間を倒す練習ばかりしてるけど、アンリはもっと大勢を相手に勝負したいんだと思う。その為にボディガードするんだと思ってるけど、どうも話がボディガードからそれて変な方向に向かってるの。」
「ふむ。」
2人の父親は話を聞いて続けた。
「アンリ、お前リサをカリスマにして利用しようと思ってるのか?」
「そうよ。お姉ちゃんがメディアにバンバン出て大衆を扇動するの。」
「ふむ。だがそうなると俺や俺の教団やアンリ、それらの存在に気づくものも現れるだろう。そうすればどうする?」
「パパをメディアに進出させるわ。」
「アンリ、お前一体何を考えている…。」
「利用できるものは全て利用させてもらう。」
「アンリ、お前はなんという子に育ったんだ。まるで若い時の俺を見るようだよ。そうだ。世界を手にしたかった。あの頃の俺は狂っていた。懐かしいよ。アンリ、狂人にしか世界は動かせない。お前なら大丈夫だ。俺のことも教団のことも自由にしてくれ。」
帰りの車中リサがアンリに聞いた。
「アンタとお父さんってどういう関係なわけ?異常だよ。」
「戦友みたいなもんよ。」
ケンが突っ込む。
「テキトーなこと言ってんじゃねえよ。」
「じゃあお姉ちゃん、明日から学校だからアタシとケンはこれで。練習頑張ってね。」
「ボクシングとレスリングならいままでやってた練習も無駄にならないし少しアレンジが変わる程度だよ。」
「あとさ。」
アンリが言う。
「パパに会って何であんな泣いてたの?」
ケンが言う。
「あれが普通の反応だ。実の親に何十年ぶりに会ったら誰だって泣くから。」
リサが言う。
「いやぁ、恥ずかしいところ見せちゃったな。このことはマスコミに言うなよ?クレイジークイーンって呼ばれてるアタシが親と再開してボロ泣きとかダサすぎるから。」
「さっそくお姉ちゃんの弱みが一つ握れたわ。」
「お前は悪魔か。」
ケンが言う。
「じゃあリサさん、俺とアンリは受験勉強とかあるんでこの辺で。」
「いい大学入れるといいね。」
「ありがとう。」
アンリは笑顔で答えた。