天才少女
1学期の期末テスト、ケンは学年1番を取った。アンリは理数系はほぼ満点だったが古文と漢文を捨てている。社会の暗記系もほぼ取れなかった。
「なんで日本には飛び級が無いのよ。アタシは高等数学だって解けるのにー。」
アンリはケンに勉強で負けたことが本当に悔しいようだ。
「だってアンリは継続力がないだもん。毎日予習復習してればいいのに、ほとんどパソコンで遊んでるじゃん。」
「遊んでるじゃないわよ!世界中の人とボイスチャットして言語を学んでいるの。」
「ほう。」
ケンはアンリに貰った大金でスマホの契約をしてからスマホに夢中だ。アンリの言葉も上の空。
「そうやって携帯電話いじってばかりいると電子の絆踏んで精の魂まで搾り取られるわよ。」
2人はリサに電話した。
「お姉ちゃん?アタシ達、夏休みになったよー。アタシは数学と化学と英語が1位だった。ケンは総合で1位だった。」
「お勉強頑張っているようでよろしい。お姉ちゃんは今減量とトレーニングで頭おかしくなりそうだよ。」
アンリが会いたいと言うとリサは車で迎えに来てくれるといった。
「お姉ちゃん、勝てそう?」
「んー、ボクシング初めてだからねぇ。相手はボクシング専門で何年もやってる人だし。アタシに勝ったら名前も売れるし美味しい相手だと思われてるんじゃない?」
「お姉ちゃん悪者?」
「そりゃあんだけマスコミで騒いだからね。黙々と頑張るだけですって言ってる優等生の方が応援されるんじゃない?」
リサのトレーニング施設に着いた。
「ケンくんはスマホ買ったのか。ライン交換する?」
「はい、お願いします。」
アンリが首を突っ込む。
「言っとくけどね、お姉ちゃん、ケンに手ぇ出したらブつからね。」
「手も出さないし、お前に殴られてどうにかなるようなヤワな鍛え方してないよ。」
「なら良いんだけど。」
リサのトレーニングは男性ボクサーとのスパーリングをほぼ休みなく行うというものだった。男性の方は1Rごとに交代して常にベストの状態で臨む。リサは毎ラウンド全力で戦う男性のボクサー相手に戦っていた。だが、リサは常に試合の主導権を握り、時にダウンを奪っていた。
「お姉ちゃん凄いじゃない!これなら自分と同じ体重の女子なら世界一になれるよ!」
リサはゼエゼエ言いながら答えた。
「万に一つも負けるわけにいかない。」
一通りボクシングの練習が終わるとレスリングの練習が始まった。少し前までレスリングのルールすら知らなかったリサだが、今では体重で勝る男子選手相手に互角以上に戦っている。
「凄いね。お姉ちゃん。」
「万に一つも…」
リサは気を失った。