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電子の絆(小説)19


外人部隊帰りの兄


元外人部隊の男が言った。

「俺がお前らの兄弟のタクトだ。」

アンリが言う。

「タクトさん。リサお姉ちゃんとどっちが強いの?」

タクトが鼻で笑う。

「ボクシング、レスリング、総合格闘技、どれも対個人戦での戦いだ。俺は飢餓の状態で歩き続ける訓練や、あらゆる拷問に耐える訓練なども積んでいる。人一人なんて銃があれば一瞬だ。」

「カチンとくるねえ。」

リサが言う。

「目潰し噛みつき金的無しでスパーやろうよ。」

「フッ・・・」

タクトが恥ずかしそうに言った。

「生まれて初めての肉親との邂逅なんだ。そんな野暮なことはよそう。」

「マチコお姉ちゃん、爆弾作りのプロは?」

アンリが聞く。

「家宅捜索受けて聴取受けてる。多分実刑だな。」

「ぎゃははははは!」

3人は大声で笑った。

「格闘技ジムを開きましょう。」

アンリが提案した。

「会員を増やしていってゆくゆくは洗脳してアタシ達の私設軍隊になってもらうのよ。」

タクトが言った。

「おい、リサ、マチコ、アンリは頭がおかしいのか?」

マチコは言う。

「ただのドキュンよ。」

リサは言う。

「タクトお兄ちゃんは上官に逆らったりしないでしょう?アンリはアタシ達の上官って訳よ。」

その夜はみんなでお酒を飲みながらタクトの逆立ち腕立て伏せを見て盛り上がった。


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電子の絆(小説)18


作戦会議


「元外人部隊に入ってたお兄ちゃんにも爆弾つくりのプロのお兄ちゃんにも連絡とってるみたいだから身の回りのことは安心して。」

マチコはそういった。

「外人部隊か、あなどれんな。」

リサが言う。

「じゃあ400億円を使って何をしましょう?」

アンリがウキウキと聞く。

「日本の景気が悪くなったらヤッコさんら儲かるらしいじゃん。じゃあ相当金もジャブジャブ使ってるはず。その逆を突く。」

「今から日本の株やらを買い漁っておいて株価を爆上げさせる。」

「そんなことが簡単にできるの?」

「リサさんがいれば不可能じゃない。」

リサが銃で撃たれた事件はそれなりに話題になったが容疑者の黒ずくめの男が完全黙秘を貫き殺人未遂で懲役を受け、話題もすこしずつ静まっていった。

「リサお姉ちゃん!CMオファーだって!」

「内容はホームセキュリティと滋養強壮剤とビールのCMか。いいな。」

「これでお姉ちゃん国民的スターだね。」

「マチコさん、あたしのことはどんどん利用してくれ。なんてったって中卒だからな。作戦なんて立てられないんだな。」

マチコは言った。

「ゆくゆくは選挙ね。」

「え!?」

「国会議員になってもらってマスコミで発言してもらう。それによって動く株価を前もって予想する。」

「最終的に例の組織に復讐したいんだけど。」

「お兄ちゃんお姉ちゃん達にはまだまだいっぱい異能者がいるから安心して。」

「電子の絆ね。」


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電子の絆(小説)17


新たな仲間


「パパ、例の組織にやられたわ。報復を考えてる。」

「報復?相当な力がいるぞ?」

「でしょうね。だからパパ、残りの兄弟の居所を教えて、その子らと一緒に目的を遂げる。」

「幼馴染のケンくんはいまだに入院してるらしいな。お前の気持ちはわかった。兄弟のなかでも特殊能力に長けたものを送ろう。」

「さすがパパー!」

数日後兄弟を名乗るものがリサの家に来た。白髪の混じったゴワゴワの長ロングヘア。スッピンにメガネ、GパンにGジャン。アンリが手を叩いて喜んだ。

「すごいすごい!これでバンダナしてたら最強ね。」

女は答えた。

「バンダナは今洗濯中だ。それとお前ら陽キャっぽいな。本当にアタシの兄弟か?」

「お姉ちゃんはオリンピック2種目制覇のアスリートよ!それが陽キャじゃなかったら誰が陽キャなのよ!?」

「リサさんじゃなくてあんたもだよ。いっとくけどあたし東工大出身よ?」

「アタシは東大の1年生でーす。」

「くっ!カーストとはこんなに不条理なものなのか!」

「東工大のお姉ちゃん、名前は何ですか?アタシはアンリ、このおねえちゃんはリサ。」

「アタシの名前はマチコ。」

「マチコ、あんたの才能は?」

リサが嬉しそうに聞く。

「資産運用。」

「ひょえー!」

アンリが絶叫する。

「今アタシたち二人の全資産は3億くらいだけどどう思う?」

マチコはこたえる。

「つつましく一生を送るなら十分な額だがヒリヒリした道を歩くには吹けば飛ぶような額だ。」

「だって。」

リサが笑う。アンリは少し怒って言う。

「じゃあ3億預けたらどこまで増やせるっていうのよ!」

マチコは笑う。

「私の資産は400億超えです。そんなはした金なんの足しにもならないからガリガリくんでも買って食べてれば?」

「お姉ちゃん、こいつ陰キャな上にヤな奴だ!懲らしめて!」

「懲らしめないよ。で、マチコさん、その400憶は私たちに協力するために使ってくれるっていうわけ?」

「リサ・ザ・クレイジークイーンのネームバリューと南国の某国とのスパイ活動なんて儲かる匂いがプンプンするじゃないですか!」

アンリは言った。

「マチコお姉ちゃんもジャンキーね。」


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電子の絆(小説)16


絶頂からの転落


黒づくめの男は3人に向けていきなり銃を放った。ケンとアンリはその一撃で戦闘不能になったがリサは違った。肩に銃創を負いながらも男を捕縛した。

「どういうことだ。」

「ボスが、死んだ。」

「で?なんでそれであんたがアタシらを撃つんだい?2人を病院連れてくんだから手短にな。」

「リサといったか、お前への抜群の知名度で日本の株価が徐々に回復しつつある。今お前が死ねば莫大な富が入る予定だった。」

一応アタシも殺人鬼じゃない。アンタは両手両足縛って警察よぶ。」

「アンリ!ケン!大丈夫か!?」

二人は意識を失っている。リサは応急手当をし、タクシーを呼び緊急病棟へ行った。

「アンリのやつ…こんな可能性は考えてなかったのか?国を亡ぼす?莫大な金を動かす?所詮命のやり取りのしたことのない頭でっかちの発想だ。」

「お...お姉ちゃん...」

「アンリ!喋るな!もうすぐ病院んだ!」

「アタシは死なないわ。ケンと二人でお姉ちゃんのTシャツ売った金が数千万ある。闇医者でもなんでも確実に治して。」

「わかった。」

タクシーの運転手は緊張からか一言も話さなかった。

3か月後、アンリは腎臓を失ったが命に別状はなかった。

「ほらぁ、腎臓って2つあるしぃ。」

ケンは肺を撃ち抜かれ未だに緊急病棟にいる。

「アンタの恋人、なかなか治らないね。」

「あいつは両親もいない状態から奨学金制度を利用して東大生になったほどの男だよ?これくらいで死ぬ玉じゃないって。」

軽口を叩くアンリの目には涙が光っていた。リサはそっと抱きしめた。

「奴らの組織はまた私たちを狙うはずだ。そうなる前に奴らの組織を潰す。」

「どうやって?」

「お父さんの子供、つまり私たちの兄弟と手を組む。」

「お姉ちゃん…」

「あんたとアタシ、2人組んでこの成功だ。全員揃ったらとんでもないことになるぞ。」


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電子の絆(小説)15


パーティー


「天下取ったー!」

リサは自宅でアンリとケンと一緒に宅配ピザを貪り食っている。

「うおおお!ビール美味い!おい!アンリは飲むな!まだ未成年だろ!」

Lサイズのピザを3枚頼んだ時はアンリもケンも驚いたが、もっと驚いたことにもうすぐ食べ切りそうだ。

「お姉ちゃんピザとかビールとかそんなに食べたかったの?」

「うん!アタシ70kg級で戦う為に60kgくらいまで増量してたんだよ。今回のオリンピックのために48kgまで減らしたの。ジャンクフードが食いたくて食いたくて。もう食っていいんでしょ?いやあマスコミになんて言うか考えないとな。」

「なるほどね。」

アンリが言う。

「お姉ちゃんはビッグマウスな上に節制もできないというわけね。」

「何言ってんだ。試合には間に合ったぞ?」

「いいのよ、普段は自堕落で試合の時だけ節制する方が人間味がある。」

アンリは理科1類、ケンは文科1類に合格した。リサもアンリ達と一緒に合格発表に来ていたが、サングラスをしていたのにすぐにバレ、揉みくちゃにされた。

「どうしてここにリサ選手がいるの?」

「いや、ほら、あの、アタシ中卒だからさ、東大の合格発表ってもんを見てみたかったんだよ。ほら、マスコミも来てるし。」

「リサ選手も大学受験するんですか?」

「いえ、しません。」

そう言うとリサは一人で車で帰ってしまった。

アンリは言った。

「受験勉強も終わったし、お姉ちゃんもオリンピック優勝したし、いよいよね。」

ケンが言う。

「何が?」

「決まってるじゃない!日本を支配するのよ!」

「え?」

「お姉ちゃんには日本の支配者になっていただきましょう。」

「お姉ちゃん車で帰っちゃったからアタシ達電車だったんだからね。」

「ごめんごめん、顔がバレちゃったからさ。でもさ、2年前の頃と比べて随分知名度上がったな、アタシも。」

「そりゃそうよ、オリンピック2種目金メダルだもんね。国民栄誉賞ものよ。」

「国民栄誉賞か。考えたこともなかったな。そっかー、大多数の人にとってオリンピックだけがスポーツなんだな。アタシが間違ってたわ。オリンピックよりもその前の70kg級の格闘技の方がしんどかった。」

「お姉ちゃんは中卒だから立身出世の方法はわからなくて当然よ。」

リサはアンリの背後に回って両腕でアンリの顔を覆い、手首の骨で思いっきりアンリの頬骨を締め上げた。

「んん~~~~~!!!!!!」

「アンリ〜、痛いだろう。この技は骨折したりとかの危険性はないが痛さではトップクラスだからなー。」

ケンが仲裁にはいる。

「あの、リサさん、今のはアンリが悪かったけど金メダリストが素人をいじめちゃまずいのでは?」

「大丈夫、ケンくん、これは姉妹喧嘩よ。あとね、スポーツにはオリンピック以外にも色々と、こういう恐ろしい技もあるんだってことを体で覚えてもらおうと思ってね。」

「なるほど、それもそうか」

「んん~~~~~~~~~!!!!!」

アンリは助けて離してと言おうとしていたがあまりの激痛に声が出なかった。

「…で。」

アンリは頬を氷で冷やしながら言った。

「おねえちゃん選挙に出てよ。」

「選挙?」

「出てくれなきゃ一般人に暴行したって週刊誌に言う。」

「ふざけんなよ。凄い手加減したし、あれは躾けだ。アタシが本気で締め上げたら頬骨陥没してるぞ。」

「このゴリラ女。」

「そのゴリラ女が選挙にでたらまずいだろ。」

インターホンが鳴った。

「誰だろう?」

モニターには黒い帽子にサングラス、黒いスーツ、黒ずくめの男が立っていた。

「誰だ?こいつ。」

「あー!知ってるわー。パパの元仕事仲間よ。あいててて。喋ると骨が痛い。」

マイク越しに男は言った。

「早乙女梨沙、仕事の依頼をしにきた。」

アンリが答えた。

「お久しぶり。日本を堕落させる計画だけどまだ全然進んでないんだな。受験勉強とかあったし。」

男は言った。

「桂杏梨もいるのか。丁度いい。少し中に入れてくれないか?」

リサが言う。

「うーん、こんな奴家に入れるの気持ち悪いなあ。」

「大丈夫よ、パパの仕事仲間だよ?」

「じゃ、しょうがないか。」


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電子の絆(小説)14


オリンピック


オリンピック。まずはボクシング。リサはもともと総合格闘技時代も立ち技で勝負するタイプだった。キックボクシングルールで戦ったこともある。そもそも70kgの相手にも勝てるリサだ。同階級の敵には圧倒的だった。ジャブで距離を取るようなことをせずにブンブン振り回す。リサの名前は海外でも少しずつ知られてきていて世界の人間が注目していた。順調に決勝戦。相手のボディにフルスイングした一撃でKO勝利した。

「アタシが同階級にいたことを恨みな」

リサは心の中でつぶやいた。

「お茶の間の皆さん、金メダルです。早乙女梨沙です。次はレスリングで金とるんで応援お願いします。」

「早乙女選手はこの後レスリングにも出場するんですよ。みなさん、絶対応援してくださいね。」

レポーターとのやりとりを聞いてアンリが苛立つ。

「ダメね。もっとビッグマウスよ。もっと大袈裟に、人を小馬鹿にしないと!」

すると突然リサがレポーターのマイクを奪った。

「いいか!このオリンピックの主役はアタシだ!アタシは戦うカリスマだ!アイム、リサ・ザ・クレイジークイーン!以上!」

リサがマイクをレポーターに返す。ケンがいう。

「これでレスリング、絶対負けられなくなったな。」

夏休みだったケンとアンリの2人はリサの元へ向かった。

「お前ら高校生のくせに金あるんだな。」

「お姉ちゃんがチケットくれないから自腹よ。いくらお父さんに貰ったって言っても所詮5000万よ。」

「アタシがアンタくらいの時は毎日訓練して月の給料10万くらいだったぞ。」

ケンが横から言う。

「ついこの間までは奨学金制度目当てに必死に勉強してたんですよ。高校入ってからもバイトと勉強両立してね。コイツは数少ない奇跡を手にして大金を得たんです。」

「そんなことよりお姉ちゃん、ボクシングの時のマイク、なかなか良かったわ。スポーツ新聞の見出しに、アタシは戦うカリスマだ、って一面で載ってたわよ。」

「お前に色々言えって言われてたこと思い出してさ。ついついオリンピックだと思うと優等生になっちゃうんだよな。ほら、周りがショービジネス格闘技やってる連中じゃないから真面目なんだよ。ついついペースが乱された。ボクシングもさ、ポイント稼ぐアマチュアボクシングばかりでさ、アタシの練習相手の男子プロに比べたら怖くなかったよ。」

「じゃあレスリングもいけるのね」

「わかんない。レスリングはほんと人気種目だからね。一瞬でも気を抜いたら負ける。」

「激戦区の日本代表になれたんだから大丈夫だよ。」

「うん。」

レスリングが始まった。アンリとケンは会場のチケットが手に入らず、会場近くのテレビの観れる飲食店を探して観戦した。リサ効果でレスリング会場は凄い興奮に包まれている。しかしそれは半分応援で、半分は調子に乗ってるやつが負けるところが見たいという心理、ビッグマウスの効果がモロに出ていた。この大会はリサが主人公だった。テレビのニュースのスポーツコーナーは連日リサの特集を組み、スポーツ新聞はリサに紙面をさく。専門雑誌でも毀誉褒貶あるものの格闘技を今後メジャースポーツにするためには、リサのような、かつてのモハメドアリのようなズバ抜けた存在が必要だ、などと口泡とばしてがなりたてていた。

試合はトントン拍子に進んだ。リサが劣勢になることがないのだ。常に攻め続け、時間になると大差でポイント勝ちしてる。「お姉ちゃん、勝てるかな?」

アンリが言う。

「らしくないな、アンリ。お前はいつも自信過剰でこの程度のことじゃ何とも思わないもんだと思ってたよ。」

ケンがいう。

「だって実の姉があんな世界から選ばれた屈強な人たちと戦ってるんだよ?怪我でもしないかと心配で。」

アンリの心配をよそにリサは決勝戦も大差をつけて勝った。

日本のテレビ局が群がる。リサが答える。

「この大会はアタシのためのものだって言ったろ?この先どうするかって?とりあえず、笑っていいともに出るのが小さい頃からの夢だったけど終わっちゃったから、徹子の部屋に出たいね。」アンリのいる店では非難するもの、賛辞をおくるもの半々だ。

「半々でいい。」

このままマスコミに追いかけ回されても消耗しないだけの実績は作った。

「アタシが頑張る番ね。」

アンリはビールをジョッキで飲んだ。


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電子の絆(小説)13


ビッグマウス


「いい?お姉ちゃん。ビッグマウスよ。不言実行なスポーツ選手なんてゴマンといるわ。あえて有言実行。」

「アンリ、日本を没落させてどうのこうのってのはどうなったんだ?」

ひさびさのリサの休日、リサの家でケンとアンリの3人でお茶を飲んでいる。

「そう言われると思ってね、パワーポイントで資料を作ったの。今から説明するわね。」

「その1、内乱を起こします。」

「待てまて、どういうことだ?」

ケンが思わず身を乗り出す。

「だからー、アタシがお姉ちゃんを利用して国家転覆させようと思ったらその際にアタシたちを守る暴力機関が必要でしょ?募るのよ、最強の女の子を守る親衛隊を。武器を持ったら捕まっちゃうからあくまで素手で強い軍隊を作って。」

リサはニヤニヤ聞いている。途方もなさすぎて自分と関係ないと思っているのだ。ケンはあたふたと落ち着かない様子だ。

「その2、内乱のドサクサで臨時政府を作ります。こうなったら諸外国もなんらかのリアクションをとるでしょう。あとは日本もろとも自滅してもらいます。アタシの依頼主が満足するくらい、徹底的に没落してもらいます。お姉ちゃんは危険を感じたらいつでも逃げてください。」

リサが言う。

「お前孤児院と南の島が欲しいんだっけ?いいのか?そこまでスケールのでかい仕事の報酬がその程度で。」

「そう言われてみるとそうね。依頼を受けた時はお姉ちゃんの存在を知らなかったから計画を練る発想も浮かばなかったから言われるがままに受けたけど、これって下手したら億じゃなくて兆の金が動く案件だよね。」

ケンがやじる。

「お前は歴史の授業捨ててるからそんな怖いことが思いつくんだ。」

「何よ!」

「いつの時代も権力というものはその力とともに毒も持っている。うっかり手を出したら毒に触れて死ぬぞ。」

「何よ、ビビってるの?」

「リサさんを利用するのも反対だしお前が権力を持とうとしてるのはもっと反対だ。」

「なんでよ!」

リサがナッツを食べながら言った。

「ケンくんもアンリが好きなんだよ。好きな女が危険なことしてるのが嫌なんだよ。あんたら両思いなんだよ。よかったね、アンリ。」

ケンが焦る。

「いや、あの、はい、まぁ。」

「ケンは昔からそうだよね。アタシが鉄棒で大車輪やっても褒めないで危ないからやめろって騒いでさ。いいじゃない、アタシが危ないことだろうが面白いと思ったことは最後までやっちゃうんだってのは知ってるでしょ?」

「わかってるよ。お前のことは。昔からそうだった。でも俺が最終ラインで止めてたから助かってきたんだぞ?」

「なるほどね。」

リサが口を開く。

「アンリが暴走する、ケンくんがセーブする。お互い譲り合って釣り合いのとれたことをする。そういう理屈で2人は回ってるわけか。さすが幼馴染、上手くできてるね。」

アンリが言う。

「ケンには意気地が無いの。」

ケンがいう。

「アンリには自制心がないんだよ。」

リサがまとめる。

「ふむ、お姉ちゃんとしてはね、アンリが思ってるより単純に考えてるんだな。計画が本当に正しければ全く不満はないのだよ。アタシはね、決められた法則に則って体と心を鍛えて敵を倒す訓練をずっとしてるわけで、法則自体を疑うのはまた違う人の仕事なのだ。」

リサの背中のタトゥーをデザインしたTシャツがちょっとしたブームになっていた。アンリは依頼主も出し抜いて自分の周りだけに利益を産ませる方法を考えていた。もうすぐリサの出場するオリンピックが始まる。


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パパパパパパ活01



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電子の絆(小説)12


リサ・ザ・クレイジークイーン


リサのパンチの連打が敵を襲う。1R40秒でレフェリーが止めた。異例のボクシングデビュー戦が同階級国内チャンピオンというこの試合。リサはオリンピックボクシング日本代表の切符を手に入れた。

「次はレスリングだね。お姉ちゃん。」

「日本は女子レスリング強いからな。気合い入れていくぞ!」

この時点ではマスコミも半分疑問だった。1人の選手が全く違う競技でオリンピック代表になった例は少ない。いくらお互い格闘技というカテゴリーに入っているといっても、将棋の達人がチェスの世界大会では負けてしまうようなもので、同じ種目に割ける時間が圧倒的に違うのだ。

レスリングオリンピック代表選考大会、リサの動向はもはや国内中から注目されており、同一選手によるボクシングレスリングへのオリンピック出場決定の瞬間を見ようと競技場には人が押し寄せた。急遽レスリング協会は競技の観戦を有料にして緩和に努めた。テレビ放送のスポンサーもつき、異例の全国放送が決まった。

競技会での主役はやはりリサだった。

テレビの解説席にゲストとして女子総合格闘家の選手が来ている。

「早乙女梨沙選手がプロ格闘家の道を卒業してしまったのは非常に残念ですね。まだまだ発展途上のジャンルですしね。ですがオリンピック代表、しかも2種目同時となればね、これはもう、国民全員が注目しますよ。女の子でも戦いたいと思ってる全国の少女の道しるべになるでしょうね。」

試合は16人がトーナメント形式で戦う。リサが戦うことに反対するものもいた。女子レスリングは日本のお家芸。最近レスリングの練習始めたばかりのリサにその資格はあるのかという疑問の声もあった。その手の目線をリサは一回戦で豪快に吹き飛ばした。

「強い!早乙女選手!強い!リサ・ザ・クレイジークイーン!去年の日本選手権を制覇した古泉選手に何もさせずに大差で勝利!これはどう見ますか?」

「ええ、やはり早乙女選手はプロ時代70kg級の選手と真っ向勝負できるだけのパワーがありましたし、軽量級特有のスピードとスタミナも持っています。レスリング協会は一回戦で負けさせてこの騒ぎを鎮めようと思って古泉選手と戦わせたのでしょうけど、はっきり言って、早乙女選手は金メダル候補ですね。」

結局どの相手もリサからほぼポイントを取れず、圧倒的な差をつけてリサは優勝した。

「早乙女選手、ボクシングに続きレスリングオリンピック代表決定おめでとうございます。」

「ありがとうございます。ひとつ、いいですか?」

リサはマイクを受け取った。

「テレビの前のみんな、応援ありがとう。アタシが早乙女梨沙です。今度のオリンピックはアタシが面白くするんでよろしくね。最後に一言。」

リサは大声で言い放った。

「アタシがクレイジークイーン、リサだー!」

「ありがとうございました。それでは早乙女梨沙選手にもう一度大きな拍手を。」


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電子の絆(小説)11


天才少女


1学期の期末テスト、ケンは学年1番を取った。アンリは理数系はほぼ満点だったが古文と漢文を捨てている。社会の暗記系もほぼ取れなかった。

「なんで日本には飛び級が無いのよ。アタシは高等数学だって解けるのにー。」

アンリはケンに勉強で負けたことが本当に悔しいようだ。

「だってアンリは継続力がないだもん。毎日予習復習してればいいのに、ほとんどパソコンで遊んでるじゃん。」

「遊んでるじゃないわよ!世界中の人とボイスチャットして言語を学んでいるの。」

「ほう。」

ケンはアンリに貰った大金でスマホの契約をしてからスマホに夢中だ。アンリの言葉も上の空。

「そうやって携帯電話いじってばかりいると電子の絆踏んで精の魂まで搾り取られるわよ。」

2人はリサに電話した。

「お姉ちゃん?アタシ達、夏休みになったよー。アタシは数学と化学と英語が1位だった。ケンは総合で1位だった。」

「お勉強頑張っているようでよろしい。お姉ちゃんは今減量とトレーニングで頭おかしくなりそうだよ。」

アンリが会いたいと言うとリサは車で迎えに来てくれるといった。

「お姉ちゃん、勝てそう?」

「んー、ボクシング初めてだからねぇ。相手はボクシング専門で何年もやってる人だし。アタシに勝ったら名前も売れるし美味しい相手だと思われてるんじゃない?」

「お姉ちゃん悪者?」

「そりゃあんだけマスコミで騒いだからね。黙々と頑張るだけですって言ってる優等生の方が応援されるんじゃない?」

リサのトレーニング施設に着いた。

「ケンくんはスマホ買ったのか。ライン交換する?」

「はい、お願いします。」

アンリが首を突っ込む。

「言っとくけどね、お姉ちゃん、ケンに手ぇ出したらブつからね。」

「手も出さないし、お前に殴られてどうにかなるようなヤワな鍛え方してないよ。」

「なら良いんだけど。」

リサのトレーニングは男性ボクサーとのスパーリングをほぼ休みなく行うというものだった。男性の方は1Rごとに交代して常にベストの状態で臨む。リサは毎ラウンド全力で戦う男性のボクサー相手に戦っていた。だが、リサは常に試合の主導権を握り、時にダウンを奪っていた。

「お姉ちゃん凄いじゃない!これなら自分と同じ体重の女子なら世界一になれるよ!」

リサはゼエゼエ言いながら答えた。

「万に一つも負けるわけにいかない。」

一通りボクシングの練習が終わるとレスリングの練習が始まった。少し前までレスリングのルールすら知らなかったリサだが、今では体重で勝る男子選手相手に互角以上に戦っている。

「凄いね。お姉ちゃん。」

「万に一つも…」

リサは気を失った。


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電子の絆(小説)10


ツンツン少女


リサの高級車に乗ってアンリとケンは2人の父親に会いに行った。

「お父さん教祖だったんだ。」

「なんかもう死にかけてるけどね。パパ。」

老婆がドアを開けた。

「貴女の娘のリサです。手紙をくれましたよね。」

「おお、リサかい。貴女はたしか早乙女さんとこの子だね。」

「随分性に奔放な家庭なんですね。」ケンが恐る恐る言った。

「じゃあ貴女の旦那さんの娘です。逢いに来ました。」

リサは父親に会うと泣き出した。

「お父さん。」

「梨沙か、相当頑張ってるようだな。」

リサは手で顔を覆って泣きじゃくっている。アンリが言う。

「普段は化け物みたいに強いのにこういうのには弱いのね。」

「杏梨をどう思う?梨沙。」

リサとアンリの父親がベッドに横たわりながら聞いた。リサは泣き終えた後答えた。

「アタシは相手を弱そうか強そうかでしか判断できないけど、いいの?」

「かまわんよ。」

「今はまだ、弱い。でも強くなりそうな予感がある。」

「どのくらい強く?」

「それはわからないけど、アタシは毎日1人の人間を倒す練習ばかりしてるけど、アンリはもっと大勢を相手に勝負したいんだと思う。その為にボディガードするんだと思ってるけど、どうも話がボディガードからそれて変な方向に向かってるの。」

「ふむ。」

2人の父親は話を聞いて続けた。

「アンリ、お前リサをカリスマにして利用しようと思ってるのか?」

「そうよ。お姉ちゃんがメディアにバンバン出て大衆を扇動するの。」

「ふむ。だがそうなると俺や俺の教団やアンリ、それらの存在に気づくものも現れるだろう。そうすればどうする?」

「パパをメディアに進出させるわ。」

「アンリ、お前一体何を考えている…。」

「利用できるものは全て利用させてもらう。」

「アンリ、お前はなんという子に育ったんだ。まるで若い時の俺を見るようだよ。そうだ。世界を手にしたかった。あの頃の俺は狂っていた。懐かしいよ。アンリ、狂人にしか世界は動かせない。お前なら大丈夫だ。俺のことも教団のことも自由にしてくれ。」

帰りの車中リサがアンリに聞いた。

「アンタとお父さんってどういう関係なわけ?異常だよ。」

「戦友みたいなもんよ。」

ケンが突っ込む。

「テキトーなこと言ってんじゃねえよ。」

「じゃあお姉ちゃん、明日から学校だからアタシとケンはこれで。練習頑張ってね。」

「ボクシングとレスリングならいままでやってた練習も無駄にならないし少しアレンジが変わる程度だよ。」

「あとさ。」

アンリが言う。

「パパに会って何であんな泣いてたの?」

ケンが言う。

「あれが普通の反応だ。実の親に何十年ぶりに会ったら誰だって泣くから。」

リサが言う。

「いやぁ、恥ずかしいところ見せちゃったな。このことはマスコミに言うなよ?クレイジークイーンって呼ばれてるアタシが親と再開してボロ泣きとかダサすぎるから。」

「さっそくお姉ちゃんの弱みが一つ握れたわ。」

「お前は悪魔か。」

ケンが言う。

「じゃあリサさん、俺とアンリは受験勉強とかあるんでこの辺で。」

「いい大学入れるといいね。」

「ありがとう。」

アンリは笑顔で答えた。


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電子の絆(小説)09


モハメドなんとか


リサは2年後のオリンピックのレスリング日本代表及びボクシング日本代表を目指す事をマスコミに伝えた。アンリはリサにこう伝えてあった。傲慢であること。既得権益をもつものを挑発すること。大げさに、観てるものが皆眼を見張るように振る舞うこと。リサは見事に演じた。

「アタシが総合格闘技5階級制覇した無敗の女王早乙女梨沙だ。2年後には世界初のレスリングとボクシング、両方のオリンピック金メダルを同時にとる女になる。」

総合格闘技時代の控え目な立ち居振る舞いとのギャップに世間は驚いた。週刊誌は面白おかしく記事にしていき、地上波テレビでも多少批判的な目で見られつつも注目されていった。リサが48kg級の体で70kg級の選手を倒すシーンは何度もお茶の間に流れ、一般層への知名度も上がっていった。

「ビッグマウスな選手になりたくなかったんだけどなぁ。」

リサは心底嫌そうにしている。

「だってお姉ちゃんって、凄いことしてるのにアタシもケンも知らないくらいの知名度しかなかったじゃん。なんとかかんとかアリってボクサーもビッグマウスだったんじゃないの?」

アンリがテキトウなことを言っている。

「モハメドアリな!アリの名前も知らないのに格闘家をプロデュースする気なのかよ。あのな、ビッグマウスってのはな、注目と同時に悪意も集まるんだぞ。一回負けたら人格まで全否定されて笑い物だ。」

「有言実行って言葉があるのよ。リスキーな分リターンも大きい。お姉ちゃんは日本の若者達の憧れになってもらいたいの。影響力を持って欲しい。その上でその人たちをアタシの手のひらで操るの。」

少し考えてリサは言った。

「アタシ本は読まないけど戦争の歴史くらいは知ってる。アンリ、お前は途方も無い空想家か有能な指導者のどちらかのようなことを言っている。そして民衆はそういうやつに弱い。ブレーキの壊れたアンリのようなやつが描いた脚本通りに演じてみるのも面白いな。」

ケンが言う。

「この国に恨みでもあるのか?」

「ないわ。」

キッパリとアンリが言う。

「お姉ちゃんを英雄にして影響力を持たせる。その後のことはその時考える。」

「リサさん、こいつは金が目当てなんだ。金のためなら自分の国まで売り飛ばすっておかしいんじゃないですか?」

「あら、ケンくんもアンリと一緒に育った孤児でしょ?不思議だね。お金がそんなに嫌い?自分が貧乏なままで自分の国が好景気なら満足なの?」

「そ、それは…。」

「ケンはね、非常に模範的な一般人なんだよ。」

アンリが言う。

「1番最初に水に飛び込む仲間が現れるまで水に飛び込めないでいる群れの中の一匹のペンギン。」

アンリは続ける。

「人はみんな違うんだ。違った上で理解していくことが大事。」

アンリとケンは先日手に入れたお金全てとリサの貯金を合わせてリサのグッズを販売することにした。

「ロゴなんだよなー。」

アンリが頭を抱える。

「インパクトがあって安っぽく無いロゴ。なにかないかなー。」

ケンが言いづらそうに言う。

「あのさ、リサさんのタトゥー、原子力のマーク、やっぱりみんなあれに目が行くと思うんだよね。」

「うーん。」

アンリが言う。

「お寺の地図記号にして一瞬ナチスに勘違いされるっていうのはどうだろう。」

「却下。」


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電子の絆(小説)04


初恋


某国、孤島。

ケンがぼやく。

「ったく俺をどこまで振り回すつもりだよ。2500万円くれた後に学校とバイト休ませて、訳わかんねー島に連れてきて。」

「2500万円の中には口止め料金と拘束料金が入ってまーす。」

アンリが意地悪く言う。

黒ずくめの男は片言の日本語で話した。

「カツラアンリ、お前の父親から聞いた。お前の父親は優秀なスパイだった。我が国に大きく貢献した。そのお前の父親が認めた後継者がお前だ。」

「アンタ、パパの知り合い?」

アンリは目を輝かせた。

「戦友とでも言おうか。私も諜報活動を行っていた。お前の父親は日本のあらゆる機密を我が国に流してくれた。私はお前の父親を尊敬している。」

「でも、2重スパイだったんでしょ?」

アンリは男に言った。

「我が国の情報も日本に漏れていた。だが、優秀な人材をその程度のことで抹殺するより、次世代の人材を生む種になってもらうことを選んだ。」

男は続けた。

「スパイとしての野生の勘。遺伝子。それが宿った子供を作り、我が国に届けることを条件にお前の父親を生かした。結局宗教団体の教祖になり、信者たちに数十人の子供を孕ませたらしい。」

「数十人の子供を…、孕ませた…?」

アンリが繰り返す。ケンが叫んだ。

「頭大丈夫かよお前!?種?孕ませる?孤児として育ったこいつの気持ちになってみろよ!」

「いいのよ、ケン。」

アンリはなだめるように言った。

「空想の中のパパはいつだって神様だったわ。でも本当のパパがただの人間でも、神様になることを目指したような人だってんなら話は別。」

男が口を開く。

「今の話を聞いても我が国に協力できるのだな?」

アンリはケンの腕を引っ張って応えた。

「この人はアタシの初恋でイマも好きな人。この人と二人で楽園に住めるくらいの報酬を用意して。」

ケンが真っ赤になる。

(俺もお前が初恋で今も片思いだと思ってたよ)

「でもっ!でもコイツラ絶対頭おかしいぞ!アンリ!お前イカレタ集団の仲間入りすんのかよ?」

ケンは自分の動揺を隠そうと必要以上に常識的な意見を言った。

「2重スパイの成れの果てが一瞬で5000万円作り出す財力。その本家のやつらがどれだけのものか見てみたくない?」

アンリはそう言うがケンは呆れてさっきの愛の告白のことも忘れそうになっていた。


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電子の絆(小説)03


2重スパイの成れの果て


「パパ、今までのアタシの養育費として5000万円振り込んで。パパのスパイしてた国に飛んだりするから。」

アンリは父親に通信を送った。

「お前なあ、そんなもんでいいのか?じゃあ今からいう仮想通貨を買え。俺が後で値を上げてやるから。」

横にいるケンは自給980円のバイトをしている自分と目の前の会話との落差に気が遠くなった。

「わかった。全財産ぶち込む。」

アンリは言った。

「ケン、アンタにも半分あげる。口止め料よ。」

アンリが仮想通貨を15万円分買ったことを父親に伝えるとチャートに異常が起こった。みるみる値が上がっていく。

「おいおいお前の父ちゃんいくら金持ってんだよ。」

ケンはさっきからタバコを持つ手が震えている。

「これで、5000万。」

アンリは決済した。

「20倍の倍率で取引してたから楽勝だったわ。」

アンリは勝ち誇りながらケンのタバコに火をつけ思い切りむせた。

「2500万円ずつか、何に使う?」

ケンが聞いた。

「アタシの野望を聞きたい?」

アンリが怪しげな目で言った。

「アタシは将来孤児院を作りたいの。」

意外とまともだなとケンが思っているとアンリは続けた。

「全ての子供にアタシのハッキング技術を伝えて世界一のハッカー集団にするのよ!」

2人は空港へ向かった。

「一週間もバイトと学校休みにしちゃったよ。大丈夫かな?」

ケンがいうと、

「あんた、もう奨学金も生活費も心配しなくていい額の金もってるんだよ?」

アンリがニヤニヤしている。

「カツラアンリさんですね」

黒ずくめの男が空港で声をかけてきた。

「あんた誰?」

アンリが警戒する。

「アナタの父親からメールがきました。是非我が国にお越しください。」

男は微妙な発音の日本語で言った。

「我々の国は電子機器の操作に習熟したアナタを迎え入れます。」

「パパみたいにスパイになれってこと?」

「そうです。」

ケンが青ざめた。

「スパイってお前冗談じゃねえよ!コイツはまだ16歳の普通の女の子だぞ?」

そんなケンとは正反対の表情でアンリは言った。

「報酬しだいね。」


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電子の絆(小説)02


幼馴染とのドライブ


高速を抜け、目的の街につく。

「あの家だ。」

アンリの目が座っている。ケンはいざとなったら殺人だけはとめようと思った。 チャイムを鳴らす。中年の女性が現れた。

「貴方の娘のアンリです。」

中年女の顔色が変わった。

「どうして事故で死んだなんて嘘までついて施設に放り込んでくれたわけ?子供が10人もいたから口減らし?」

アンリの母は辛そうに口を開いた。

「天帝様が…、おつげが…、アンリ、あんたは神様の子供だから、無理やり引き離されたんだよ…」

アンリが母親の頬を思い切り平手で打った。

「クソババア!宗教かよ!最低!テメエで産んだんなら責任取れ!」

ケンがアンリを止める。

「おい、もういいだろ、気持ちはわかるけど手は出すなよ。」

アンリの母は続ける。

「アンリのお父さんは天帝様なんだよ…。私にはわからないけど他の9人の兄弟も同じ方法で施設に送ったのはある計画のためなんだよ。」

アンリが再び平手を振るのケンが止め、尋ねる。

「計画って、なんの計画ですか?そんな異常なことをするのが必要なほどのものなんですか?」

「詳しくは私はわからないの。天帝様、アンリ、あなたのお父さんに直接聞いて。」

アンリの母は2人をリビングに案内した。中年男性がベッドに横たわっていた。

「アンリか。10人目の。やはりお前だったか。想像した通りだ。俺がお前の父親だよ。」

アンリの父は続けた。

「俺はある国と日本との2重スパイでな、引退した後は顔と戸籍を変えてこの土地で新興宗教を始めたんだ。」

「お母さんまで洗脳したのかよ!あんた頭おかしいよ!」

アンリが怒鳴る。

「話は最後まで聞け。2重スパイというやつは少し特殊でな、両国を敵に回すことになる。それでな、両国に取引のできるブツを用意したんだ。それがお前が探し当てた電子の絆だ。」

「電子の絆って、あのパソコンの、ウィルスソフト、お父さんが作ったの…?」

アンリは何かに気が付いた。

「つまり、なんだ、その…」

アンリの父が口ごもる。

「わかったわ。パパ。アタシがパパに代わって世界中にウィルスをばらまく。」

アンリの目は輝いていた。

「2重スパイ時代の国との取引も私に任せて。さーて明日も学校があるから帰るわよ、ケン。じゃあね、パパ、ママ。」

ケンが訝しげに尋ねる。

「おい、なんであんなに怒ってたのにいきなりニコニコしだしたんだ?」

「だってぇ~、金の匂いがプンプンするじゃ~ん。」

アンリはケンの吸ってるタバコを奪って一服すると思い切りむせた。


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電子の絆(小説)01


テクノロジカルな女子高生


仮想現実空間の中で少女は探し求めていた。人類の電脳社会化が進んだ結果生まれた

「現実世界と超現実世界との狭間」

を。

少女の趣味はパソコン、もっというとハッキング、クラッキング。最近聞いたネットの噂。入ったら帰ってこれなくなる裏のサービスがあるらしい。 神々しく心地よくVRゴーグルをつけたまま失禁し餓死するものまでいるらしい。

神々しいというところが気に入った。少女は裏のサービスを探している。あやしいexeファイルも片っ端から実行した。 そのうちの一つが、当たりだった。

「ようこそ!あなたは4人目のお客様です!」

クリックしていくと性別を聞かれたので女性を選択。

「あれー?女性なのー?ビデオつけてみてー」

すこし躊躇ったがパソコンのビデオをつける。

「本当に女の子だー。凄いねー。今まで来た3人は全員男で俺の作ったバーチャル桃源郷から抜け出せなくしたけど、さて女性ならどうしよう」

少女は言った。

「貴方は何が目的なの?」

管理人は応える。

「人を幸せにするウィルスをばら撒きたいんだよー。」

管理人は続けた。

「ふむふむ君は孤児として育ったのか。ではこれをあげよう。日本中の人間の現住所と戸籍とやらを紐づけたデータだよ。両親に会うも良し、会わずとも良し。」

そこで通信は途切れた。そのかわりにデスクトップ上に

「電子の絆」

というアプリケーションがインストールされていた。 少女は正直吐きそうなほど動揺していた。私が孤児ってわかったの?あの管理人は日本中の人間の個人情報を握っているの?

メイクをして気合を入れたら少し落ち着いた。孤児同士だった幼馴染のケンに電話する。

「もしもーし、ケン、聞いて、例の裏のアプリみつけた。色々あってあたし達の両親にあえるかもしれない。」

ケンは動揺している。

「え?俺らの親って交通事故で死んだんだろ?っていうかそんな危ないことまだやってたのか!」

少女は言う

「あの人は日本中の人間の個人情報持ってるのよ。その上で両親に会ってもいい、って言ったのよ。これってアタシ達の親、生きてるってことじゃない?」

少女は自分の名前を入力する

「桂 杏梨」

ケンもアンリの家に駆けつけていた。

「桂 杏梨、Y県の桂家の10人目の子供として生まれ両親に施設に預けられる。」

「なんてこった。」

ケンが口を開いた。

「事故で死んだってのは嘘で産むだけ産んで捨てられてたのか。」

「こんどはケンね。」

アンリがケンの情報を入力する。

「横山 健、Y県の横山家の長男として生まれるが直後に両親が交通事故で死亡、施設に預けられる。」

「なるほどね。」

ケンがつぶやいた。

「俺は真っ当な孤児だったって訳か。まあいいけどね。それより、どうするアンリ、親に会うのか?」

「殺しちゃおっか?いっそ。」

アンリの瞳にはジョークではないという強い意志が感じられた。

「殺したらお前が殺人犯になるんだぞ!だめだよ!」

「じゃあツラだけでも拝みたいわ、今から行きましょう。」

アンリは偽造運転免許を手際良く作り出した。

「ほんと、お前のそういう危ない才能、まともに使えばどこの大学でも行けるんじゃねえの?」

ケンは最近覚えたタバコをふかした。

道交法や運転方法はマスターできていたのでドライブは順調だ。レンタカー代が痛かった。


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イラスト08

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イーロンとプーチン

イーロン・マスクは焦っていた。

「ホワイ?なぜtwitterのプログラムはこんなにテキトーなノリで作られているんだ!?」

オフィスで酒を飲みながらノリの良さそうな人たちが楽しそうにしている。

「とりあえずトランプ凍結解除しとくか。面白いし。」

ながやまこはるちゃんも凍結された。

「ヘイ!何故twitterはこんなにテキトーなんだ!俺がボスだ!ボスに従え!脱ぐな!服を着ろ!酒を飲むな!サウナで汗を流せ!パーティーをするな!陽キャ至上主義かお前らは!俺がボスだ!ボスに従え!センシティブかどうかをノリで決めるな!設定でエロ絵をセンシティブにいちいち設定してる絵師さんをシャドウバンするな!俺がボスだ!ボスに従え!なんでお前らは何から何までノリで動いているんだ!とりあえず服を着ろ!俺がボスだ!酒を飲むな!ながやまこはるちゃんをBANするな!お前らはジョークもわからないのか!ながやまこはるちゃんも知らないのか!なんでお前らは何もわからないんだ!俺がボスだ!俺がながやまこはるちゃんだ!」

「ミスター・イーロン、ユーがながやまこはるちゃんだったのか。理解した。ソーリー。」

「ノー!!!!!!」


「プーチン様、戦況は芳しくありません。ウクライナへの兵器の援助が凄くて、我が祖国はにっちもさっちも行きません。同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様のお気持ちはわかりますが、ここは勇気ある撤退を提案します。」

「シベリアは好きか?」

「プーチン様、自分はシベリアは嫌いであります。」

「ならば口を慎め。もう少しその楽しいおしゃべりが続いていたらシベリアどころかチェルノブイリだったぞ?」

「はっ!軽率でした!」

「よろしい。だが君の意見にも一理ある。あのゼレンスキーだとかいう小僧、あやつだけは、あやつだけは、全裸ちんこピアノさせながらマシンガンで殺しても足りん。」

「はっ!プーチン様!同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様はどのような作戦をご希望ですか。」

「全ロシア国民を決死隊として編成し、いや、違うな、まずは戦術核を、いや、ううむ。」

「はっ!プーチン様!ついに核ミサイルをご使用になられるのですね!理解しました!」

「もうお前は黙れ、気が散る。」

「はっ!同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様!私は黙ります!」

「チェルノブイリ行きだな。」


イーロン・マスクは焦っていた。

「なんでtwitterには絶対に解けない溶岩と宝石と人とモンスターのパズルしか表示されないんだ!お前らはありとあらゆることをノリで決めすぎだ!脳を使え!」

「ブレイン…を使うと言うことだな。ボス!理解した。」

「よろしい。脳を使え。頑張れ。負けるな。酒は勤務後に飲め。パーティーは週末に誰かの家でやれ。ノリでプログラムを組むな。広告を表示する際には色々と配慮しろ。脳を使え。」

「ボス…、つまり…、ボスは我々を否定したいのか?」

「やめろ!意味不明な口論をやめろ!俺がボスだ!ボスに従え!何故お前らは何でもかんでも口論の種にしてテキトーなノリで血を流し合うんだ!やめろ!内ゲバをやめろ!手を取り合ってこのまま行こう!愛する人よ!」

「ヒュー♪QUEEN。」

「なんでお前らは枝葉末節にのみ対処するんだ!俺の論旨は今の俺のセリフがQUEENの歌詞の引用だったことではなくてお前らに説教したかったと言うことだ!」

「ボス、アップデートしましょうよ。」

「ふざけるな!そのOSはセキュリティ終わってる!追加パッチ作られるまでアップデートするな!お前の脳が壊れるぞ!」

「ブレイン…、と言うわけですね!ボス!」

「違う!」


プーチンはついにtwitterの公式バッジをゲットした。

「同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様、ついに有名人の仲間入りですね!」

「ふっ、月々$10くらいかかるから結構迷ったけどな。」

「はっ!プーチン様は金遣いが荒いであります!」

「そうか。Amazonプライム入ってるからNetflix解約したほうがいいか?」

「はっ!同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様は買い物上手であります!」

「Netflix独占番組で好きなの多いのが悩みの種だな。字幕周りの設定もAmazonプライムよりNetflixのほうが好きなんだがな。」

「はっ!同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様はAmazonの配送料無料に着目してAmazonプライムデーで賢く買い物するべきに思います!」

「Amazonで日用品の細々したものを買うとそれだけじゃ配送できなくて一杯買わないとダメなことがあって損した気分にさせられる。」

「はっ!同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様はAmazon定期便を活用し、トイレットペーパーや台所食器洗剤などを賢く買うのがいいと思います!」

「私もいい部下を持ったよ。」


イーロン・マスクは焦っていた。

「ホワイ?なぜ、偽垢やbot垢、エロ垢、胡散臭い金儲け垢、出会い垢、がほぼ99%のアカウントなんだ?俺は何を見せられているんだ。twitterっていうサービスは何のために存在しているんだ?」

「ボス、そんなこともわからないのかい?twitterってのはこの世で最も優れたwebサービスさ!」

「ふざけるな!とりあえずウクライナの有名人をガッツリ宣伝して戦争を終わらせたりしろ!そういうのが有意義な使い方だ!」

「ボス、それは世論操作というやつですぜ。」

「ファーーーーーーーック!!!!!」


「同志スターリンの魂を受け継ぐプーチン様の気になるtwitterトレンドはなんでありますか!」

「コツメカワウソ関係とかチンチラとか猫ちゃんとかかなぁ。」

「はっ!了解であります!そいつらを全滅させます!」

「違う!!!」


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田代まさし-TASHIRO-

「いっちょめいっちょめワーオ、か…。」

田代まさしは目の前のパケを一晩中睨み続けていた。

「ダチョウの竜ちゃん、俺、志村さんがいない娑婆なんて、もう、心の中が空っぽだよ…。」

ブラウン管には猿岩石ヒッチハイクの映像が流れていた。

「有吉、頑張れよ。俺も薬やめるから…。」


志村はいかりや長介の住んでるアパートを訪ねていた。

「碇屋?本名を開いてたのか…。」

いかりや長介はドリフターズメンバー、荒井注脱退に伴うゴタゴタに悩まされていた。

「テレビの前の皆さん、今週から新メンバーの志村けんくんが加わります。」

「よろしくな!チョーさん!」

「馴れ馴れしいんだよ志村!」

田代まさしは延々、パケを握りしめながらVHSを再生し続けた。


「アヘン ヘロイン コカイン マリファナ♪ハイになって夢中になって♪致死の手前で一旦やめようか♪かな…?」

「田代、久しぶりだな。」

「桑名!」


「田代、俺最近お箸の持ち方矯正できたんだよ。お前も覚醒剤やめれるよ。自分を信じろ!」

「桑名、志村さんを失った俺の涙を止めてみろ。」

「田代、お前に必要なもの、適度な運動、十分な睡眠、栄養バランスの整った食事、だ。」

「そんなのダルクで死ぬほど習ったよ!もういいよ!」

「田代お前注射器あるのか?」

「ないよ!今は!勿体無いけどそのまま飲むよ!」

「苦いらしいじゃないか、覚醒剤って。甘い飲み物買ってこようか?」

「桑名はいいやつだな。」


田代と桑名は近くのファミリーマートでお母さん食堂コーナーを物色していた。

「桑名、志村さんってさ、結局何だったんだろうな?」

「あの人は面白かったなー。」

「お前単なる素直ないいやつじゃん!」

「バカ殿とか本当に面白かったよな!」

「桑名も共演してたじゃん!」

「いやー、いい思い出だよな!」

「桑名、ファミリーマートに注射器売ってないんだな。」

「不便だなー。」

「桑名っていいやつだなー。」


ブラウン管にはお笑いウルトラクイズが映っている。

「これで俺ナイナイの岡村知ったんだよな。」

「そうそう、ダチョウの竜ちゃんとSMのムチでしばき合うんだよね。」

「この映像の二人が、一人自殺で一人精神病院送りとか、全然笑えないな、桑名。」

「そうか?そんなこと考えもしなかったわ!」

「桑名はいいやつだなー。」


二人は1週間ほど徹夜でお笑い番組のVHSを見続けた。

「桑名、俺今後どうしよう?」

「田代はお笑いの才能があるんだからお笑いで頑張ればいいじゃん。」

「でももう何度も何度も薬物で捕まってる俺が地上波で使ってもらえないだろ!」

「でも田代はお笑いの才能があるんだからお笑いで頑張ればいいじゃん。」

「そうかー。」


「桑名、殿はいいな。」

「殿って誰?」

「たけしさんだよ!」

「たけしさん?」

「ツービートのボケ担当のビートたけしさんだよ!もうなんなんだよ桑名!」

「バカ殿が志村さんで、殿がたけしさんか。ややこしいな。」

「もうこれ桑名のワンマンショーじゃん!桑名そのキャラでR-1優勝できるよ!」

「R-1?」

「もういいよ!」


「桑名はM-1も知らないかもしれないから説明するけど、M-1ってのもあって、漫才コンクールがあって、それに二人で出よう!」

「それに出ると何かいいことがあるの?」

「賞金1000万円と抜群の知名度が保証される最高のお笑いチケットだよ!」

「チケット?」

「喩えだよ!チケットっていうか、スターになることを保証されるって言いたかったんだよ!」

「スター?星?」

「スターっていうのは有名人のことを指す用語だよ!桑名はお箸の持ち方を身に付けるとともに一般教養を全て失ったのかよ!」

「一般教養?」

「もう桑名は日本語も大体わかんないのかよ!常識みたいな意味だよ!」

「常識?」

「覚醒剤とか絶対ダメとかそういうのを常識って言うんだよ!」

「へー。」

「桑名もダルク行け!」

「ダルク?」

「わかった。ごめん。俺が悪かった。」


12月、ついにM-1決勝ステージに辿り着いた田代と桑名のコンビ「ラッツ・アンド・スター・アンド・しゃねるず」は、健闘したものの、最終ステージ進出には至らなかった。

「田代ー!」

「クワマーン!」

大歓声が何よりの答えだった。田代は大切なことは何なのかに気づいた。

「桑名、ありがとう。」

「ありがとう?」

「サンキューって意味だよ。」

「サンキュー?」

リアルタイムで視聴していた鈴木 雅之は涙を堪えることができなかった。

「マーシー、おかえり。」


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漫画

進撃のWコウジ14


「今田さんってAV好きやないですか。」

「せやな。」

「AVの魅力って何ですか?」

「負の側面やろな!」

「負の側面!?」


「せやな。俺は人間の負の側面を見つめ続けてるんや。」

「なんか前世でとんでもない悪行でも積んだんですか?」

「ヒガシノリは可愛い孫もいるおじいちゃんやけどワシは現役の性の探求者なんや。」

「でも結局昔のAVばかり見がちなんでしょ?」

「懐メロやな。」

「ごっつの頃やったな、とか思い出すんですね。」

「ワシEテレレギュラーやぞ。Eテレの自分の出てる番組の録画と最高のお気に入りのAVを同時視聴しとんねん!」

「嘘でしょ!?」

「さすがに盛ったわ。すまん。」


「最高のAVのシチュエーションって何なんすか?」

「背徳やろうな。」

「深いですね。今田さん。」

「タブーを犯すためには前提となるタブーが必要なわけやろ?」

「なるほど。」

「つまり最高の背徳のためには最高の権威、秩序、規範、法律、倫理、人間が培った万億の文言が連なる歴史を背景にしたこの世界の成り立ちそのものが必要な訳や。」

「なるほど。」

「つまり初恋の女の人そっくりな女優さんものが至高や!」

「えっ!?」


「そんなんただのモテないおっさんやないですか。」

「アホなこと言うな!ワシかて好きでAV見とるんちゃうわ!」

「えっ!?」

「AV見てると真理に辿り着けるかのような境地に至れるんや!」

「えっ!?」

「この世界のありとあらゆる娯楽は畢竟、生物の持つ本能に根差す欲求を基底とした、性欲を煽るために最適化されたAVは、神、創造主、この宇宙の根本原理、構成物質、物理法則、つまりビッグバンとはワシがお気に入りのAV見てるこの瞬間のためだけに起こったんやな、と実感できるんや。」

「今田さん、Eテレの収録の現場でも神々と戦ってる想定で臨んでたんですね。」

「せや。むしろEテレという権威が劣情をええ感じに刺激してくれるって寸法なんやな。」

「今田さんはやっぱ凄いなァ。」


「せやかて今田さん、AV応援するのはわかるんですけど、なんでAVって大きな声で表立って応援できない感じなんですかね?」

「甘いでヒガシノリ!隠れキリシタン理論やで!」

「えっ!?」

「AV業界は日本に伝来したキリスト教なんや!AVファンはどんなに迫害されても決して退転せんのや!」

「今田さんにとっての踏み絵ってどのAVですか?」

「全部や!ワシはあらゆるAVを足蹴にできんわ!」

「絶対隠れ切れないじゃないですか。即処刑ですよ。」


「ヒガシノリ!AV見てるとな、何が起こるか知ってるか!?」

「え?何が起こるんですか?」

「あのな、何かな、あったか〜い気持ちになんねん。」

「孫の写真見る時みたいなもんですかね?」

「せやろな。ワシには孫とか不要なんやな。」

「AVを孫がわりに愛でるんですね。今田さんには一杯孫がいていいなァ。」

「せやな、Piecesやな。」

「はい!ピーシーズ、ということで、今日はありがとうございました!」


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